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Change The Cycle Report
新しいサイクルをつくる、みんなのレポート

レポートMV

REPORT

2024.05.14

ファッション業界を志す学生たちの眼差し
~文化服装学院 学生視察レポート~

新たな洋服のサイクルを生み出す実験場「KISARAZU CONCEPT STORE(以下KCS)」では視察にも対応しています。オープン以降さまざまな団体や企業の方々が視察に来られています。

今回は、将来ファッション業界に携わることを志す文化服装学院ファッション流通高度専門士科の1年生の皆さんが、授業の一環で来られた視察の様子をレポートします。視察の後半では洋服が好きで、ファッション業界の未来を見据えている皆さんならではの視点で、KCSをよりよくするための提案やアイデアなども出していただき、私たちにとっても充実した内容となりました。

すべては“新たなサイクルを生み出すため”に。
空間デザインから買い物体験の仕掛けまで。

まずKCSプロジェクトスタッフによる館内ツアーを実施。エントランスでお支払いいただく入場料“コントリ”の説明からスタート。コントリとはcontributionの略称で、社会課題を解決すべく新たなサイクルを生み出すための取り組みを行っている企業・団体を応援する仕組みです。入場料およびお買い上げいただいた商品代金の一部を社会課題に取り組む企業・団体に協賛しています。

館内を巡りながら空間づくりにおける環境配慮の工夫に加えて、お客様にとにかく新たな洋服との出会いを楽しんでいただくための迷路のようなゾーニングなどKCSの空間について説明。

あわせてブランドをミックスしたVMDや買い物かごを持って入店していただきどんどん服を入れたら、好きなだけ試着できる広い試着室、気に入ったもの以外の商品を返却できる返却台などお客様の体験設計についても説明します。

学生さんたちは目をキラキラと輝かせながら真剣に話を聞き、メモをとったり質問をしたり。

南棟と北棟をつなぐ廊下に位置するFACTORY LAB*で興味深く説明を聞く学生さんたち。

単に買い物を楽しんでいただくだけでなく、洋服のサイクルを生み出す活動につながる発信やワークショップの実施を通じて、お客様が消費活動や暮らしの在り方について考えるきっかけを創っていきたいというKCSの想いをお伝えしました。

*FACTORY LABでは、不要になった衣類を土に還す取り組みや紙や燃料など別の資源に生まれ変わらせる技術のご紹介、またそれらを体験できるワークショップを不定期に開催。

初めてKCSに来るという学生さんがほとんどでしたが、単なる洋服を販売する場所ではなく、コントリやFACTORY LAB、お客様の買い物体験をワクワクさせるための空間的な仕掛けなど、あらゆる面で「新たなサイクルを生み出す」ことを目指している場だということを知っていただく機会になったのではないかと思っています。

約1時間ほどの館内視察を終えたあとは自由時間。学生さんたちは各々自由にお客様の視点で館内を楽しんでいました。

自由時間を経て実施したのは「KCSの“ノビシロ”を探す」ワークショップ。話を聞きながら館内視察をして、その後自分たちなりの視点で館内を見て回った中で感じた「もっとこうしたらいいのでは」「自分だったらここでこんなことをしたい」というアイデアをまずは一人ひとり個人ワークで洗い出し。その後3~4人のチームに分かれてディスカッション、チームごとにプレゼンテーションをしていただきました。

ファッション業界を志す学生さんならではの視点での意見も飛び交い、とても楽しそうに、そして真剣な眼差しでディスカッションする姿が印象的でした。

チームごとに「KCSに来て感じたこと、もっとこうしたらいいのでは」というアイデアを発表していただきました。
アイデアの一部をご紹介します。

・あらゆるブランドやスタイルの洋服があるので、もっとマネキンを使ってコーディネート提案を多くしてもいいのでは。
・広々としたFITTING STUDIOがあるので、部屋ごとにテーマがあっても面白そう。照明の雰囲気を定期的に変えたりするのもいいのではないか。
・アウトレットと隣接しているためさまざまな年代のお客様が想定される。そのため、パーソナルカラー診断などのサービスを取り入れることで、買い物体験をより満足度の高いものにできそう。
・リメイクを体験できる場所があるといい。
・エシカルなものづくりをしているような学生ブランドのPOPUPなどを誘致するのもよさそう。

1人の生活者としての意見、ファッション好きな個人としての意見、ファッション業界を志す学生として見たビジネス視点でのアイデアなど、それぞれの眼差しでKCSを捉え、ディスカッションし、発表してくださいました。短時間でのワークショップではありましたがとても有意義なものでした。

学生のみなさんからいただいた貴重なご意見は、店舗スタッフにも共有し、今後の店舗運営や企画に活かしています。さっそくマネキンのコーディネートを増やしたり、イベントでのリメイク体験ワークショップなども実施しています。

KCSは、“みんなで”新たなサイクルを生み出す実験場。今回視察に来てくださった学生さんたちはファッションの未来、私たちの暮らす地球の未来に向って共に歩むパートナーです。一人一人がやれることから一歩ずつ歩みを進めるきっかけを創っていきたいと思っています。

参加した学生の感想の一部をご紹介

・体験やワークショップを通して、今までで一番明るいサスティナブルに対しての取り組みだと感じました。商品陳列の仕方や使われている什器、試着室にも工夫が感じられていて新しいアパレルのあり方だと思いました。自分たちの意見も積極的に聞いて問題解決しようとしてくれてるとこもすごく感心しました。全体を通してとても面白くて新しい取り組みだと思いました。

・ただモノを売るだけでなく、伝えたいことやそれに関連した活動もされていたり、すべてに理由をきちんと持っているところからとても参考になるビジネスモデルだなと感じました。次は是非プライベートで行って、もっとじっくり見てみたいです。

・店内ではリサイクル素材を使用した洋服が展示され、持続可能なファッションの可能性が具体的に感じられました。商品には環境への配慮が込められ、ファッションが環境への影響を減少させる手段としての役割を果たすことが示されていました。また、スタッフの説明を通じて、環境への配慮が商品だけでなく、店舗運営全体に渡ることも理解しました。この経験を通じて、環境への意識がファッション産業においても重要であり、私たちが選ぶ服が地球に与える影響についての理解が深まりました。これからも環境に優しいファッションに興味を持ち、積極的に選択していきたいと思います。特に印象的だったのは、その店舗が環境保護に焦点を当て、ファッションを通じて個々の意識を喚起しようとしていたことです。商品だけでなく、店内の雰囲気やデザインにも環境への思いやりが表れ、消費者としての私たちがより持続可能な選択をすることの重要性を感じました。このような取り組みは、環境問題への理解を広げ、共に未来の持続可能な社会を築く一翼を担っているように思います。

・様々なサステナブルな取り組みを実際に目で見て体験することができ、新しい消費の場としての学びを得ることができました。服だけでなく施設全体にもこだわりがあり環境に害だと言われている接着剤を使わずに釘を使い空間を作ったり、使わなくなった扉を再利用したりなど販売としての役割だけでなく、その場所自体がサステナブルであるという認識を持てるように様々な空間デザインを演出していてとても感心しました。また実際に買い物をしているお客さんをていたので、幅広いカテゴリーの中から好みのアイテムを掘って探すような一種のテーマパークのような雰囲気を感じました。ワークショップでお店の良い点や改善点を話し合う中でこれはSDGsが一般的になりつつある今のアパレル業界でも参考になるものが多くあったように感じました。

いただいた感想を拝読し、私たち自身も改めて背筋が伸びました。ファッション業界を志す若い世代のみなさんとも引き続きさまざまなカタチでご一緒させていただきながら、やりたいこと、やるべきことを一つずつ取り組んでいきたいと思います。